
2026-08-26
C#で業務システムを開発していると、
「.NETのバージョンが変わると、実際には何が変わるのだろう?」
と感じることがあります。
2025年にリリースされた.NET 10は、LTS(Long Term Support:長期サポート)版です。
.NET 10では、ASP.NET CoreやEntity Framework Core、各種ライブラリなど、幅広い機能が更新されています。
今回はその中から、普段の開発ではあまり意識することのないJITコンパイラについて取り上げます。
C#で書いたプログラムは、ビルドすると中間言語に変換されます。
そして、プログラムを実行する際に、その中間言語をCPUが実行できる機械語へ変換します。
この変換を担っているのが、
JIT(Just-In-Time)コンパイラ
です。
大まかな流れは、
C#のソースコード
↓
中間言語
↓
JITコンパイラ
↓
CPUが実行できる機械語
となります。
普段C#を書いている中で、JITコンパイラを直接意識する機会は多くありません。
しかし、アプリケーションを実行するうえで重要な役割を持つ仕組みの一つです。
.NET 10では、JITコンパイラにも複数の改善が加えられています。
Microsoftの公式資料では、コード生成や最適化に関する改善が紹介されています。
例えば、構造体をメソッドへ渡す際のコード生成などについても改善が加えられています。
そのほかにも、インライン化や仮想呼び出しに関する最適化など、実行時のコード生成を改善する取り組みが続けられています。
こうしたランタイム側の最適化によって、特定の処理では、より効率的なコードが生成される場合があります。
.NETやC#の新しいバージョンが登場すると、
「新しい文法が増えた」
「新しいAPIが追加された」
といった部分に目が向きがちです。
しかし実際には、
など、さまざまな部分で改善や変更が行われています。
普段書いているC#のコードの裏側でも、多くの仕組みが動いています。
一方で、
「新しい.NETにすれば、そのまま問題なく動く」
とは限りません。
.NET 10にも、以前のバージョンとの互換性に影響する変更があります。
Microsoftでは、.NET 10への移行時に影響する可能性がある変更を公開しています。
ASP.NET Coreやライブラリ、Entity Framework Core、ネットワーク、SDKなど、それぞれの分野で確認が必要な項目があります。
そのため、実際に既存システムを移行する場合には、
といった確認が重要になります。
単にバージョン番号を上げるだけではなく、既存システムへの影響を確認しながら進めることが必要です。
C#を使った開発では、
画面を作る。
データベースへアクセスする。
APIを呼び出す。
業務ロジックを書く。
といった作業が、日々の仕事の中心になることも多いと思います。
もちろん、それらを確実に実装することが開発では重要です。
その一方で、
「自分が書いたC#のコードは、どのように実行されているのか」
「.NETは裏側でどのような処理をしているのか」
といった部分を少し知ることで、普段使っている技術への理解も深まります。
新しい技術を次々に覚えることだけが、技術力を高める方法ではありません。
普段使っている技術の仕組みを、少し深く知ってみる。
それも、エンジニアとして技術を積み重ねていく一つの方法ではないでしょうか。
参考資料
Microsoft Learn「What’s new in .NET 10」
Microsoft Learn「Breaking changes in .NET 10」
投稿者 技術部主任