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DXは次の段階へ。2026年の企業ITはどう変わっているのか

2026-10-09

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉を、日常的に耳にするようになりました。

数年前までは、

「紙の書類を電子化する」
「業務システムをクラウドへ移行する」
「オンラインで申請できるようにする」

といった取り組みも、DXの代表例として紹介されることが多くありました。

もちろん、こうしたデジタル化も重要です。

しかし2026年現在、企業がDXに求めているものは、単なる「システムの導入」から、さらにその先へ進みつつあります。

今回は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表した「DX動向2026」をもとに、企業ITがどのように変化しているのか、そしてITエンジニアに求められる役割について考えてみます。

DXという言葉が定着した今、企業は何を求めているのか

DXという言葉そのものは、すでに多くの企業に浸透しています。

現在のテーマは、

「DXに取り組むかどうか」ではなく、「DXによって何を変え、どのような成果につなげるのか」

という段階へ移っています。

IPAの「DX動向2026」でも、企業のDXへの取組状況だけではなく、

  • DXによってどのような成果が出ているのか
  • 投資した効果をどのように評価するのか
  • AIやデータをどのように活用しているのか
  • DXを進める人材をどのように確保・育成するのか

といった点が調査されています。

つまり、システムを導入したこと自体ではなく、

「導入した結果、会社や業務がどう変わったのか」

が、より重要になっているということです。

システムを導入するだけではDXではない

例えば、それまで紙で行っていた申請をWebシステムに置き換えたとします。

紙を使わなくなり、入力や検索が便利になれば、それだけでも十分な効果があります。

ただし、現在のDXでは、さらに一歩踏み込んで考えます。

「そもそも、この申請業務は必要なのか」

「承認の流れをもっと簡単にできないか」

「入力されたデータを、別の業務でも活用できないか」

「人が確認している部分を自動化できないか」

このように、既存の仕事をそのままシステム化するのではなく、

業務そのものを見直し、デジタル技術を使って仕事の進め方を変えていく。

ここまで考えることが、現在のDXでは重要になっています。

IPAが2026年に公表したDX推進指標の分析でも、「DXのための経営の仕組み」と「その基盤となるITシステム」の両方を進めていく必要性が示されています。

ITだけを変えるのではなく、組織や業務の仕組みと一緒に変えていくことが求められているのです。

AIとデータ活用がDXと結びついてきた

そして、2026年のDXを考えるうえで欠かせないのが、AIです。

「DX動向2026」では、生成AIを含むAIについて、

  • 企業でどの程度利用されているのか
  • どのような効果が出ているのか
  • どのような課題があるのか
  • ガバナンスや組織体制をどう整えるのか

といった点について調査されています。

これまで企業が蓄積してきたデータとAIを組み合わせることで、さまざまな活用が考えられるようになりました。

例えば、

顧客からの問い合わせ内容をAIで整理する。

過去の販売データから需要を分析する。

設備データを分析して故障の兆候を把握する。

社内に蓄積された資料から必要な情報を検索する。

プログラム開発やテスト、ドキュメント作成をAIで支援する。

こうした活用は、単なる「AIの導入」というよりも、業務の流れそのものを変える可能性を持っています。

2026年の企業ITでは、

DXとAIを別々のものとして考えるのではなく、AIやデータをDXの中でどのように活用するか

という視点が、より重要になっています。

ITエンジニアにも「業務を理解する力」が求められる

こうした変化は、ITエンジニアの仕事にも影響します。

これまでシステム開発では、

「仕様書に書かれたものを作る」

という役割が中心になる場面も多くありました。

もちろん、決められた仕様を正確に実装する技術力は、これからも必要です。

しかしDXを進めるプロジェクトでは、それだけでは十分ではない場面が増えてきます。

例えば、

「この機能は何のために必要なのか」

「実際にこのシステムを使う人は、どのような業務をしているのか」

「この処理を自動化すると、前後の業務はどう変わるのか」

「本当に現在の仕様が最適なのか」

といったことを考える必要があります。

プログラムを書く技術だけではなく、

そのシステムが使われる業務を理解すること。

この力が、これまで以上に重要になっているのではないでしょうか。

「言われたものを作る」から、一緒に考えるエンジニアへ

今後、AIによる開発支援がさらに広がれば、プログラムを書く作業そのものも変わっていくでしょう。

だからといって、エンジニアが必要なくなるわけではありません。

むしろ、

「何を作るべきなのか」

「どの方法で実現するのが適切なのか」

「業務上どこに問題があるのか」

「AIやデータをどこに活用できるのか」

といった部分を、利用者や企業と一緒に考える役割が重要になっていくと考えられます。

現場の業務を理解し、技術を理解し、その二つをつなぐ。

これからのITエンジニアには、そうした役割も期待されていくでしょう。

技術が変わっても、大切なのは「何のために作るのか」

クラウド、AI、データ分析など、ITを取り巻く技術はこれからも変化していきます。

しかし、技術を導入すること自体が目的ではありません。

その技術を使って、

「仕事をどう良くするのか」

「利用する人にどのような価値を提供するのか」

「企業としてどのような成果につなげるのか」

を考えることが、DXの本来の目的です。

2026年のDXは、単なるデジタル化から、業務・組織・ITを一緒に変えていく段階へ進んでいます。

そして、その変化の中では、ITエンジニアの役割も「作る人」から、「技術を使って課題を解決する人」へ少しずつ広がっています。

新しい技術を学ぶことと同時に、

「このシステムは、何のために作るのか」

を考えること。

これからのエンジニアにとって、ますます大切な視点になりそうです。


参考

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
「DX動向2026 広がるAI導入、DXは変われるか」
2026年7月30日公開

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2025年版)」
2026年5月15日公開

Category:BLOG/お知らせ,IT業界の動向